マッチポンプな職業

学校の先生とか塾講師っておかしな職業だと思う。勉強のできない生徒に勉強を教えて、「みんな賢くなぁれ」って思ってるんだけど、もし仮に世の中から勉強ができない子供がいなくなったら、先生自体、不要になってしまう。

現実的には子供はどんどん新しく産まれてくるので、「世の中から勉強ができない子供がいなくなったら」みたいな仮定はナンセンスだろう。

しかし、その職業にとってお客さんが「どんどん新しく産まれない」ような職業だとどうだろう?

消防団員が出動手当目当てに放火する、本当の意味での「マッチポンプ」事件は珍しくもない。

それから、病院や介護施設。患者はどんどんやってくるとは限らない。ベッドに空きがあるときは、もうちょっとあの患者を入院させとけ、みたいになる。実際に儲かるように病院を経営しようと思うと、そういう風にならざるを得ない側面はある。患者を治療するのが病院の使命であるはずなのに、ベッドに空きがあるときは、患者に治ってほしくない、病院から出て行って欲しくない、と願うのが病院経営者ではないだろうか。

なんとかちゃんねるでちょくちょく話題になる弁護士が私の知り合いにいるのだけど、彼はなんとかちゃんねるのことを心底嫌っていて、あんな非人道的なコミュニティは無くなるべきだと思っているみたいなんだけど、しかし、なんとかちゃんねるが本当に潰れたら、彼は仕事の依頼が確実に減るであろう。本当に彼にとって、なんとかちゃんねるがなくなることは良いことなのであろうか。

人間はどうしてなくなると本当は困るのに、なくなって欲しいと心から願ってしまうのであろうか。

私が仕事としてやっているような技術系のコンサルについても似たところはある。この手のコンサル業というのは、その専門分野において相手と自分との知識(スキル?)の格差があるからこそ、成り立つのである。この格差がないなら、誰が他人に高い報酬を払ってコンサルなど依頼するものか。だから、お客さんは私よりIT系の知識が圧倒的に乏しいことが多い。乏しくて当たり前だと頭ではわかっているのに、何故か私は腹立たしい気持ちになる。なんでこんなことがわかんないのかな…と苛ついている自分に気づくことがある。そして、お客さんにもっとITの勉強をして欲しいと私は心から願ってしまう。お客さんが賢くなると、私は仕事にあぶれてしまうとしても。

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