【R18】僕たちが裏ビデオ業者を告発したときの話

かれこれ20年以上前の話であるが、私が大学生のころはまだツタヤなどのDVDのレンタルは始まったばかりで、ビデオデッキで視聴するビデオレンタルのほうが主流であった。しかし私はアダルトビデオをツタヤの店頭で借りる勇気が持てず、アダルトビデオを見たくとも見れずに悶々とする毎日であった。

そんなある日のこと、私の下宿先の家のポストに一枚のビラが入っていた。

「無修正アダルトビデオ どれでも1本1万円」

怪しすぎる。そのビラには、作品タイトルが30ほど書かれていた。おそらく電話でそのタイトル名を伝えると家まで持ってきてくれるのであろう。

アダルトビデオすら見たことがない私は、無修正のアダルトビデオが見れる千載一遇のチャンスの到来に喜ばずにはいられなかった。しかも、それはレンタルなどではなく、自分の所有物になり、半永久的にいつでもそのビデオを視聴できるのであるから、これが興奮せずにいられようか。

そのビラに書かれた作品タイトルを紙に穴が空くほど睨みつけ、よくよく吟味したところ、私には欲しいと思える作品がいくつかあった。しかし1万円だけなら生活費を節約して捻出できるが、それが何本もあるとなると自分の経済力では賄えそうにない。そこで軍資金を集めるべく、このビラを大学の友達に見せて、皆で少しずつお金を出し合って買わないかと持ちかけた。

結果、私を含め3人で1万円ずつ出し合って3本のビデオを購入することになった。一人が1本ずつ自分の好きなタイトルを指定する。その3本を3人で鑑賞するというわけだ。

私は、「泣き虫ロリータ」を選んだ。
H君は、「金髪美女3」を選んだ
S君は、「蒼き性欲6」を選んだ。

H君が業者に電話をして作品名を伝えたところ業者はその日の夕方にビデオを持ってきてくれたので、我々3人は、S君宅で鑑賞会をすることにした。S君宅にしかビデオデッキがなかったからである。

泣き虫ロリータ

ビデオテープはパッケージに入っておらず、手書きで「泣き虫ロリータ」と書かれたシールがビデオテープの背面に貼られているだけであった。

ビデオの再生を開始するといきなり薄暗い部屋に女性3人と男性3人が対面しているところから始まった。3人の女性が着ている服は子供っぽい服だが、明らかに3人ともおばさんであった。男性3人それぞれが対面している女性に近づき前戯を始めるのだが、そのうち一人の男性は、ちんこが立たないのか、なかなか挿入できずに前戯のシーンが長々と続く。

「泣き虫ロリータはどこにいるのか?」と思って、我々は食い入るように画面を見ていると、この男性に激怒した監督が後ろから出てきて、「なんだこのフニャチン野郎!」とか罵声を浴びせたかと思うと、その男性を思いっきり蹴り飛ばした。勢い良く吹っ飛ぶ男性。さらにその監督は、「お前たちがそんなことだから、嬢ちゃんたち、気持ち良くなんねぇんだろ!」とか他の二人の男性にも蹴りを入れ始め、その男性二人も吹っ飛び、壁に激突。どう見てもこの監督、ヤクザであった。怖すぎる。ビデオを見ている我々3人のちんこが縮み上がるのに時間は要しなかった。

そのあとも男性たちは必死に女性を感じさせようとしようとしているのだが、何ぶんちんこは縮みあがっている。それを見て監督が何度も何度も後ろから出てきて「お前ら、ざけんじゃねぇゾ、このインポ野郎!」みたいな罵声を浴びせつつ、蹴る殴るのオンパレード。「他の奴に、代われ。ちんぽ立ってる奴はいねーか?」とか言って、男性を後ろに控えていた他の男性に交代させたりしてる。

目の前で次々に殴る蹴るされている男性を見て、3人の女の子たちも恐怖に怯え顔が歪む。

監督がその女の子たちの表情を見て「嬢ちゃんたちが暗い顔なのは、お前らの気持ちがこもってねぇからだ!」とか言ってまた男たちを殴る蹴る。本当は監督は女の子たちを叱りたかったのだと思うが、代わりに男たちを女の子の目の前で殴る。男たちが自分の代わりに殴られていることが女の子たちもわかっているから、自分たちが叱られているかのように感じて、ついに3人の女の子が一斉に泣き始める。

私「ああ、泣き虫ロリータってこういうことなのか…泣き虫って言うか…この状況だと誰でも泣いてまうやろ…俺でも泣くわ…」

居たたまれなくなった私がギブアップ宣言をしたのでこのビデオの視聴はここで終了した。

金髪美女3

ビデオを再生すると、金髪美女の顔がアップで映し出される。H君待望の金髪美女の登場に、H君は「パツキンや!パツキンや!」と開始そうそうテンションが上がり切っている。

しかしよく見るとその金髪女性は微妙におばさんであった。場所はのどかそうな牧場で、後ろには大きな山が聳え立っており、晴れ晴れとした青空が画面に映し出されている。

そこに金髪女性と一人の男が出てきて、男が合図をすると女性が少し尻を突き出して、その背後から男がちんこを入れ始めた。確かに無修正かも知れないが、ちんこだけが無修正で見えているだけである。

そして何故かBGMとしてヨッシーアイランドっぽい陽気な音楽がどこからともなく流れ始めた。

この陽気な音楽に合わせて男が右手を天に掲げながら腰を振っている。男が「ヘイホー」とか時々叫んでいる。

こんなの見て嬉しいのかな…と私が思っていると、その男女の後ろらへん、柵の向こう側に、馬に乗ったカーボーイの格好をした男がやってきて、音楽に合わせて右手を大きくぶん回している。見えないロープをぶん回しているのであろうか。その男は、馬の手綱を引っ張り、その場に馬を停止させようとしているのだが、馬が暴れてなかなか停止しない。でも暴れる馬にうまく跨ったまま、画面の右に行ったり左に行ったりしている。

H君「馬がどうにも気になるな…」
私「え。そこ?馬というか、この音楽、気にならない?」
S君「俺、そもそも牧場が駄目だわ。なんでこんな健康的なんだよ…」

その後、我々はしばらく見ていたのだが、どうにも苦行であった。無修正アダルトビデオとはこんなにも過酷な試練を我々に押し付けてくるのか。金髪美女が大好きなH君すら、しばらく見ていると馬酔い(?)をしたらしく、H君がギブアップ宣言をした。

こうして我々は最後の望みを残る1本のビデオに託した。

蒼き性欲6

内容は普通のアダルトビデオを編集したもののようであった。作品タイトルなどが表示されている部分はカットされていて、何の作品かはわからない。モザイクはモザイク消し(当時流行った、平滑化フィルタを適用する商品)が使われているようで、見ようによっては少しモザイクが消えて見えるが、そのせいで画像は全体的にボケていて、画質もすこぶる粗い。

そもそも女の子はキャミソールのようなものを羽織っているが、裸ではないのでモザイク消しとか何の役にも立たない。男はその少女(ただし、おそらく20代後半)の顔にちんこを近づけて舐めさせようとしているのだが、女の子がイヤイヤをしてなかなか口に咥えようともしない。それをずっと繰り返していたところ、男がだんだん怒り出して、そのちんこで女の子のほっぺを叩き始めた。ちんこでどんどん叩かれるほっぺ。徐々に赤く染まるほっぺとちんこ。我々は、ちんこが痛々しくて画面を凝視できない。

男「オラオラ、俺をなめんなよ!」

男がそんな台詞を言いながら、ちんこでほっぺを叩いている。

男「オラオラ、俺のをなめてみろよ!」

男が自分のちんこを女の子の口元に近づけるが、女の子が一向に咥えようとしない。

男「オラオラ!俺をなめんなよ!俺のをなめてみろよ!」

私「こいつは、なめて欲しいのか、なめて欲しくないのか、どないやねん!」
S君「まぁまぁ…」

しばらく画面を食い入るようにして見ていた3人であったが、もはや限界であった。

アダルトビデオ特有のモザイクは確かに消えているように感じた。ただし、ちんこのモザイクが、である。モザイク消しはちんこのモザイクを消すためにあらず。どちらかと言えば、ちんこのモザイクはモザイクのままであって欲しかった。

H君「これも…ないな。」
S君と私「「そやな。」」

そして警察へ

裏ビデオ鑑賞会はこれにて終了となった。いや、この3本が裏ビデオかどうかすらわからなかった。

こんなものに一人1万円ずつ出してしまったのかという後悔の念が押し寄せてきた。
後悔先に立たずであり、我々のちんこも全く立っていなかった。

いずれにせよ、違法コピー品っぽいので、この行き場のない悔しさを警察に陳情することにした。警察からは、裏モノに手を出してはいけないよと厳重注意を受けた我々であったが、担当警官は捜査すると約束してくれた。

その数ヶ月後に裏ビデオの販売業者が摘発されたのをテレビニュースで知った。この業者の逮捕が我々の告発によるものかどうかはわからないし、この業者が我々にビデオを売った業者かもわからない。テレビのニュース番組で、所狭しと山積みに積まれたビデオデッキが数百台ある部屋が映し出されているのを見た。その業者がビデオをコピーしていた作業部屋だそうだ。我々3人が今回見た裏ビデオもこの部屋で生まれたのであろうか。パツキン女性も、泣き虫なロリータも、舐められたいのか舐められたくないのかよくわからない男も、みんなみんなこの場所から生まれたのであろうか。もしかすると我々3人にとっては、この部屋こそが世界の中心だったのかも知れない。その部屋に立ち入り証拠物を次々に押収する警官たちの映像を見て、我々は密かな楽園が踏み荒らされているように感じたのだった。


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